`78 FLH ショベル オーバーホール②

気が付けばあと少しで5月も終わりです。

6月からはお祭りやら夏の風物詩らしい行事が始まるので、今から楽しみです。

 

本日も前回に引き続きFLHのオーバーホールについて載せたいと思います!

ぜひ前回分もご覧下さい↓

`78 FLH ショベル オーバーホール①

 

前回新品に交換したシリンダーに加え、ヘッドも加工屋さんに出して、綺麗にボーリング&ホーニングされた状態で帰ってきました。

「ホーニング加工」とはボーリング加工後の仕上げを行う技術の事で、砥石を回転・往復運動させ、穴の内面をさらに滑らかに仕上げます。

ボーリング加工で内径を整え、その後ホーニング加工で仕上げる工程を組み合わせることで、精度と品質を両立させた部品が完成します。

ですが、ボーリングもホーニングも精密な機械加工仕上げなので当店では内燃機部品加工のプロショップに依頼しています。

 

エンジンを組んでいくにあたり、まずはバルブ周りの点検をします。

 

バルブに色を付けて当たりを点検します。

 

バルブシートにこのように色が綺麗に色がつけば気密性が保たれているという事になります。

ここに隙間ができてしまうと圧縮抜けをはじめとした性能低下の原因になりますので、注意が必要です。

 

続いて、こちらのロッカーカバーをの中に

 

ロッカーアームと呼ばれるパーツが入っています。

プッシュロッドから伝達されたカムの動きをシリンダーヘッドにある前後の吸気・排気バルブへ伝達する重要な役割を担っています。

 

こちらがクリアランスがきつめになっていた事で動きが悪くなっていた為、規定値に修正しました。

 

続いて、赤いバルブシールが入るようカラーを拡張しました。

 

これでピッタリはまるようになりました。

 

バルブシールはバルブガイドの先端に装着され、バルブステム(軸)の隙間を充填して気密性や防水性を高めるための部品です。

今回は耐久性の高い高品質なテフロン加工済みのKibblewhite(キブルホワイト)製バルブシールを使用しています。

経年劣化すると特に吸気側の隙間が広がってオイル下がりの原因になるので、こちらも定期的に点検が必要なパーツになります。

 

バルブスプリングを組付けてバルブ周りは完了です。

 

続いて、カムカバーを外して点検しました。

 

真ん中の一番大きなギア「カムギア」を外すと

 

円柱のローラーが付いたベアリングが入っているのですが、それを介してカムギアが回る仕組みになっています。

このベアリングが磨耗したまま使い続けると中でバラバラになり、パーツの隙間に入り込んだりして故障の原因となります。

ベアリングに限らず、内部でひっきりなしに動くパーツは当然磨耗していきますので、いつ交換したか分からないパーツは必ず交換しています。

 

左側は交換後の新しいベアリングになります。

ローラーの数が多くなっているのですが、そちらを使用することでカムが回転しやすくなるという利点があります。

 

こうしてシリンダーヘッドの組み付けが完了しました。

 

何度か試運転を重ねてお客様に納車させて頂きましたが、数日後お客様よりシリンダーからオイル漏れしているとのご連絡がありました。

 

再度お預かりして見てみると、分かりづらいですが動画中心部分見て頂くと液体のようなものがチョロチョロと流れています。

今回使用しているシリンダーは鋳物で、作り方は様々ですが型に鉄を流し込んで作る際に内部に巣穴という空洞が生じ、

そこからオイルが漏れ出したことが原因でした。

 

使用したシリンダーは1個約5万円ほどですが、メーカーによってはセットで30万円ほどする物もあります。

こう聞くと、2,3年持つなら安い方が良いと考える方もいらっしゃるかと思います。

ですが、高いパーツにもそれなりに理由があり、高くてもやはりその方が壊れにくく質が良いです。

シリンダーに限らず、同じパーツでも安価な物もあれば高価な物もあります。

安いパーツが必ずしも悪いという事はありませんが、それが本当に良いものなのかどうかを見極めるのも我々の仕事だと考えております。

 

今回のシリンダーの件はメーカーにて初期不良として対応して頂き、新しいシリンダーを改めてボーリング加工してもらう為に加工屋さんに送りました。

今回お客様には大変ご不便お掛け致しました。

戻ってきて作業が再開した際に続きを載せたいと思います。

 

それでは、スターモーターサイクル 桃でした