先日青森県東方沖で大きな地震がありました。
旭川はよほどの事がない限り滅多に揺れることはないのですが、あの日ばかりは少し揺れました。
被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げますと共に、一刻も早い復旧を願うばかりでございます。
本日は、以前当店にて行ったエンジンのオーバーホールについて載せたいと思います!

今回修理を承ったのはこちらの 1975年式 SHOVEL
ピストンとコンロッドを連結する重要な軸部品であるピストンピンのクリップの脱落により入庫となりました。


シリンダーをバラしてみると、リアのピストンピンクリップが外れてクランク内でバラバラになっていました。

本来シリンダーにはピストンが行き来出来るだけのクリアランスしかないのですが、その少しの隙間に外れたクリップが入り込んで傷が出来ています。
シリンダーに傷があると、クランクケース側から燃焼室にオイルが入り込んでしまうオイル上がりが起きてしまい、オイルがガソリンと一緒に燃えて白煙が出る等の原因となります。
以前もピストンピンが割れて入庫していた為、原因を探るべくフライホイールをバラしていきます。

すると、コンロッドの根本にあるクランクピンに傷が入っていました。
恐らく経年劣化による磨耗が原因と考えられます。

傷のあるクランクピンは使えないので、外して新しい物に交換します。

一緒に付いていたフライホイールワッシャーですが、円の内側を見て頂くと分かる通り磨耗によりピカピカになっていましたのでこちらも新しい物に交換する為に外しました。


傷がついたシリンダーもそのままでは使用できない為、シリンダーの中の筒を入れ替えてピストンがスムーズに動くようにボーリング済みです。

続いて、フライホイールのバランシングという作業です。
ピストンやコンロッドのパーツの重さを量って計算して導き出した重りをフライホイールのクランクピンの穴に取り付けてバランスを取り、一箇所に重さが偏らない様に調整していきます。
ちなみに手前のジッパー袋に入っているのが新品のクランクピンです。
さきほどの傷が入ってた物と比べるとどれだけ磨耗していたかというのが分かります。

コンロッドのように傾きによって重量が変わるパーツは、より正確な数値を出す為に水平になるよう調整した上で量ります。

この真ん中より上にある大きいのが、あらゆるパーツの重さを加味して付けられたダミーウェイトになります。
そして、重さを均等に調整する為に、ウエイトの他に周りに小さな穴を開けています。
重さが偏っている部分は穴を開けることで質量が減って軽くなり、逆に穴を埋めることで重くなります。
重りが一方に偏っていると水平のところに置いた時、重いところが下に向かってぐるんと勝手に動いてしまうのですが、ピタッと止まっているのが分かります。
これは重さが均等になっている証拠です。
8か所くらいに分けて回転させつつ、どこの面でもきっちり止まっているかを見ています。
2枚目のフライホイールもなんとか調整完了しました。
長くなりましたので、今回はここまで!
こういう記事を書いてると、バイクのパーツだけじゃなくて見たことない測定器具まで見ることが出来て面白いです。
それでは、スターモーターサイクル 桃でした!!!